今月は更にレポ追加。
シュー生地の工程のそれぞれの意味をご説明しますね。
このお菓子だけが不思議な工程の連続ですから。
≪シュー生地が膨らむイメージ≫
①シュー生地の表面にオーブン内の熱い空気が直接当たり、
表面が焼けていきます。
②生地の底部分が100℃に達すると水分が水蒸気に変化して
生地を押し上げ、空洞を作り始めます。
ここで底面がすべりやすいものは、生地底も浮いてしまうので
焼成後、穴があいたり、底面のみが薄い膜のようになってしまう
可能性があります。
③どんどん空洞が大きくなり、風船のように大きく膨れますが
生地表面は焼き固まっているので、空気の逃げ場がなく亀裂が入り
膨れるます。
ここまでがオーブンに入れてから開けてはいけない時間。約30~40分
④この後は乾燥焼きのため、オーブンを開けても大丈夫。
むしろ、蒸気の逃がすために必要。
≪材料の役割≫
水、牛乳、卵(液体): 加熱した時に水蒸気となり、生地を大きくふくらませます。
小麦粉: 生地の骨格
バター: 生地の伸びを促進
卵:焼成始めは生地の空洞を作るため。後に卵が焼き固まり、膨らんだ生地が
形を保てるように強度を増します。
≪ふるった小麦粉を一気に液体の中に入れるのは?≫
小麦粉全体に水分を吸収させて、一気に糊化を進めるための温度まで
あげていくため、一つの塊にしておきます。
糊化とは
デンプン(ここでは小麦粉)が熱水を吸収して膨らみ
柔かくなって、のりのような粘りが生じること。
≪生地を再度火にかけて練り上げるのは?≫
一塊になった生地を、水分が飛ぶよう鍋底に広げることを繰り返して
目的の80℃以上を目指して調整することで、オーブンに入れた時に
生地が良く伸び、大きなヒビの入らない生地になります。
シュー生地を作る際に温度計で温度を確認しながら作業することは
ないですが(確認していたら、間に合わない!)、
そのために、見極めのポイントがありましたよね。
のんびりと火を通し過ぎてしまうと、90℃を超え、デンプンが凝固始め、
水分とバターの油分が分離するので注意が必要です。
≪全卵を加えるのは?≫
1膨らむために必要な水分を与えます。
2乳化によってバターや水の分離をさせないようにします。
3焼成時の皮を強固にします。
≪焼成時の温度について≫
オーブンの適温が見つかるまで、運が良ければ1回で見つかりますが
たいていは何回も試して適温を探します。
生地を焼いてみて、全体に膨らみが悪い、小さい場合は温度が低いです。
これは、生地に含まれる水分が水蒸気に変わるのに時間がかかります。
やっと水蒸気が出始めた頃には、外側の表面が焼き固まってしまうので
膨らまなくなります。
全体にこげた!、上面が平らになった!場合は温度が高いです。
温度が高いと一番先に熱があたる上面が焼き固まります。
生地が伸びようと思っても、ふさがれてしまうためです。
≪カスタードクリームの火入れ≫
カスタードクリームの炊き方も人によって異なりますが、
今回の炊き方はごく一般的なものです。
シュー生地同様、小麦粉に火を通すことがポイントです。
レッスン実習時に止め時は混ぜているホイッパーが
軽くなるまで!とお伝えしました。その詳細は以下の通りです。
小麦粉は95℃に達した時にとろみがついて最高の粘度となります。
もちろんこれでも良いのですが、カスタードの場合、ここで止めてしまうと
後に滑らかさがなく、粘りが強く、どこか粉っぽさが残ります。
更に混ぜることで、急に粘りがなくなり、トロトロになります。
これはデンプンのブレークダウン現象と言って、デンプンの一部が
加熱により切れることで起こります。
カスタードは冷やしてから使用するので、冷やすと固まるデンプンの性質を
考え、仕上がりをできるだけ滑らかな状態にして
おくことが必要です。
以上、シュー生地、カスタードの座学となります。
これをレッスン中にお話をしては、混乱を招き、手が動かなくなるので
控えさせていただきました。
あくまでも、生地作成のイメージであり、覚える必要はありません。
知識として頭の片隅にあれば良いと思います。
Comments